Control
得られたデータを効果的に制御することにより、様々分野へ応用が可能になります。私達は、「同期現象」と呼ばれる非線形微分方程式に基づき、画像圧縮を始め、超解像、ステガノグラフィなどへ適用し、その有用性を検証しています。また、これからはビッグデータ, AIなどへ適用を考えています。


a)ある画素値へ引き込まれる様子(同期現象) (b)ある画素値から元に戻る様子(逆同期現象)
画像(5×5)が引き込まれる様子
同期現象を用いた画像圧縮・復元
画像の画素を振動子として画像に同期現象を適用すると、ある画素値にすべての画素の値が収束していきます。同じような画素の値をZIPなどの一般的な圧縮手法で圧縮すると高圧縮することができます。私達は、同じような画素を揃えることで高圧縮を実現しました。また、逆同期現象という新しい理論を開発し、高精度な復元に成功しました。現在、制御パラメータの最適化による更なる高圧縮・高精度復元を目指しています。

同期現象を用いた3次元データの圧縮・復元
3次元データは、一般的な画像(2次元)に対して次元が1つ増えただけですので、画像の時と同様に同期現象を用いて圧縮、復元を試みました。画像の場合と比較して、目視では確認できないほどの復元精度を得ることができました。画像同様、制御パラメータの最適化による更なる高圧縮・高精度復元を目指しています。

同期現象を用いた超解像技術
画質の悪い画像、解像度の小さい画像を鮮明にする手法を超解像と呼びます。私達は、自己相似性を応用し、同期現象を用いて低い解像度へ縮小した時のパラメータを、高い解像度へ拡大する時に利用することで、高精度な復元を目指しています。現在、一枚画像からの超解像技術としては既存の手法に負けない成果を得ており、今後はデータベースを用いた学習による超解像技術に負けない精度向上を目指していきます。

同期現象を用いたステガノグラフィ技術
データに秘匿したいデータを隠していることがわからないように埋め込む技術をステガノグラフィ技術と呼びます。私達は、同期現象による圧縮技術を応用して、画像に画像を埋め込むステガノグラフィ技術を試みています。これまでは原画像の50%のデータを埋め込むことが限界と言われていましたが、まるまる1枚の画像を埋め込むことに成功しました(100%)。今後は複数毎の画像を埋め込むことにより、動画の埋め込みを目指していきます。

同期現象を用いた画像マッチング技術
画像検索などの分野において画像同士の類似性の比較は非常に重要な課題となっています。私達は、同期現象を用いて画像を均一化する時間および収束した時間に着目し、これらの類似性から画像のマッチングを行うことを目指しています。

同期現象を用いたブロックマッチング精度の向上
2枚の画像から距離画像を生成する手法にステレオ法があります。ステレオ法は、2枚の画像から対応する点をいかに精度良く抽出するかが鍵です。なぜなら、この対応点抽出の精度が視差画像生成の精度に直結するからです。対応点抽出の手法は様々な手法が提案されていますが、最も基本的な手法にブロックマッチングがあります。私達は、同期現象を用いた画像変換により高精度なブロックマッチングを目指しています。
